三味線業界、外から見るより全然複雑です
どうも、みんふう楽器店です。
「三味線って今も売れてるんですか?」ってよく聞かれます。お客さんにも、友人にも、ときどき宅配の方にも(笑)。正直に言うと、一言で答えられないくらい、なかなか複雑な状況なんですよね。
華やかなステージや動画で三味線を見る機会は増えました。YouTubeで津軽三味線の演奏を見て「かっこいい!」と思って来店される方も確実に増えています。でも業界全体として見ると、職人さんの数は減り続けているし、材料の調達もどんどん難しくなってきている。表と裏でずいぶん違う景色が広がっているのが今の三味線業界です。
職人さんの高齢化と、材料問題のリアル
三味線を作る・修理するには、棹を削る職人、皮を張る職人、駒や撥を作る職人と、工程ごとに専門の方がいます。そのどの分野でも、後継者不足が深刻になってきています。うちの店で修理をお受けする際も、「この工程をお願いできる職人さん、あと何年続けてくれるかな」と頭をよぎることが増えました。
材料問題もじわじわ効いています。棹に使う紅木(こうき)はインド産の希少材で、輸出規制の影響をもろに受けています。
猫皮・犬皮も動物愛護の観点から流通が厳しくなり、合成皮革の技術開発が急ピッチで進んでいる状況です。「昔と同じもの」がそのまま手に入る時代ではなくなってきています。
それでも、入口は確実に増えている
暗い話ばかりでもないんです。これが面白いところで。
津軽三味線ブームはもう20年以上続いていて、若い奏者がコンテストや動画を通じて存在感を発揮しています。邦楽全体で見ても、アニメやゲームとのコラボで「和の音」への関心が高まっているのは確かです。
みんふう楽器店がどんなお店か気になった方はこちらの紹介記事も読んでみてくださいが、うちにも「動画を見てから興味を持ちました」というお客さんが来てくださいます。入口が増えているのは本当のことです。
ただ、入口があっても出口(=続けられる環境)まで整備されているかというと、まだまだ。教室の数も、楽器の価格帯も、初心者にとってのハードルはそれなりに高い。そこをどう崩すかが、業界全体の課題だと感じています。
合成皮革・廉価帯楽器の功罪
材料問題への対応として、合成皮革を使った三味線が増えています。本皮に比べて耐久性が高く、価格も抑えられる。初心者が最初の一本を手にする敷居が下がったのは間違いありません。
一方で、「とりあえず安いやつ買ったけど音が…」という相談もよく受けます。三味線は弾けば弾くほど皮の鳴りが育つ楽器なので、最初の一本の選択がその後の体験に結構影響する。安ければいいとも言い切れないし、高ければいいとも言えない。なかなか難しいんですよね、これが。
みんふう楽器店でも三味線の選び方は個別にじっくり相談をお受けしています。
楽器店として思うこと
小千谷から業界を眺めていると、「和楽器って地域と切り離せないな」といつも思います。
おぢやまつりで篠笛が鳴り、盆踊りで三味線が響く。太鼓の修理の依頼が来るたびに、祭りと楽器と人が繋がっているのを実感します。
全国規模の業界トレンドも大事だけど、地域の音楽文化を守ることが結果的に業界を支えることにもなる、と信じてやっています。
三味線業界、難しいことも多いけど、やっぱり面白い世界です。気になることがあればいつでもお気軽にどうぞ。