どうも、新潟・小千谷のみんふう楽器店です。
民謡三味線を始めたい、という問い合わせ、最近ほんとうに増えています。民謡三味線とはなにか。一言でいうと、中棹(ちゅうざお)を使って日本各地の民謡を弾く三味線のジャンルです。素朴でどこか懐かしい音色が特徴で、笛や太鼓と合わせてお祭りの場でも活躍します。津軽三味線のような激しい奏法とはまた違う、うたに寄り添う温かみのある世界があります。
実はわたし、はじめは津軽三味線から入った人間です。力強いビートと即興に惹かれて夢中になっていたのですが、ある時期から民謡の伴奏の奥深さにじわじわとはまっていきました。同じ三味線でも、求められるものがかなり違う。そのギャップを身をもって体験しているので、今日はそのあたりも含めてお話しします。
民謡三味線って、そもそもどんな楽器?

三味線は大きく分けて細棹・中棹・太棹の3種類があります。民謡三味線は、このうち中棹を使うのが基本です。
中棹は三味線の中で最もポピュラーな棹の太さで、素朴でしっとりした音色が持ち味。太棹の津軽三味線が「叩き奏法」で豪快に音を出すのとは対照的に、民謡三味線は唄の旋律を丁寧に支える伴奏楽器としての役割が中心です。黒田節、ソーラン節、花笠音頭……全国各地に残る民謡は、それぞれ地域の暮らしと結びついた歌として口伝えで育ってきたもの。そのうたに寄り添える楽器が、民謡三味線なんです。
新潟では佐渡おけさをはじめとした豊かな民謡文化があります。ここ小千谷でも、おぢやまつりの民謡流しは毎年賑やかで、三味線の音がまちに響きます。地元の音楽として民謡三味線に触れる機会は、新潟に住んでいるとなかなか多いんです。
津軽三味線との違い、どこが一番大きい?
よく聞かれるのが「津軽三味線と民謡三味線って、何が違うの?」という質問です。大事なポイントをざっくり整理します。
まず棹の太さ。津軽三味線は太棹、民謡三味線は中棹。この時点で楽器としての種類が異なります。胴の大きさも、皮の厚さも違います。津軽三味線は撥を打ちつけるような「叩き奏法」が特徴で、力強くダイナミック。対して民謡三味線は、唄のメロディを引き立てるよう、やわらかく流れるような弾き方が基本です。
わたしが津軽から民謡に移って最初に感じたのは、「力みすぎると逆におかしくなる」ということ。津軽は右手の力感が命だったのに、民謡では肩の力を抜いて、うたとの呼吸を合わせることの方がずっと大事でした。同じ三味線でも、コツの方向性がけっこう違う。(津軽をやってきたわたしが、最初はとんでもなく苦労した話は、また別の機会に……)
また、三味線の撥の選び方も変わってきます。民謡用の撥は津軽用より大きく、重さも異なります。はじめて民謡三味線を弾く方は、撥選びもあわせて確認しておきましょう。
楽器を選ぶとき、何を基準にする?
民謡三味線の楽器を選ぶ際の基本は、中棹の三味線を選ぶこと。棹の素材には花梨(かりん)・紫檀(したん)・紅木(こうき)などがあり、入門用としては花梨が一般的です。音の深みや艶は紅木が上ですが、まず弾き始めることを優先するなら、花梨でも十分しっかりした音が出ます。
皮については、練習用には犬皮、演奏会用には「四つ(よつ)」と呼ばれる上質な皮が使われることが多いです。最近は人工皮を使う選択肢もあって、これが扱いやすくなかなか侮れない。三味線の皮の種類と違いについては、別記事でくわしく解説しているのでぜひ参考にしてください。
撥については、民謡三味線では女性35匁・男性40匁のプラスチック撥が練習用の定番です。最初から鼈甲や象牙を買う必要はまったくなくて、まずはしっかり練習できる撥を選ぶので十分。店でも「まず弾き込んでから本番用を考えましょう」とお伝えしています。
また、駒(こま)の素材や高さも音色に大きく影響します。民謡三味線の練習用には舎利駒(しゃりこま)が使われることが多く、演奏会用には象牙駒が一般的です。
練習はどう進める?最初の壁はここだ

民謡三味線の入り口でつまずきやすいのは、調弦(チューニング)と撥の持ち方のふたつです。
三味線の糸は演奏中に少しずつ伸びる性質があるため、弾く前に糸を伸ばしてチューニングを安定させる作業が必要です。慣れないうちはここだけで手こずる人も多い。最近はデジタルチューナーで確認できるので、積極的に使いましょう。
撥の持ち方は、間違ったフォームが癖になると後で直すのが大変です。最初のうちに正しい持ち方を身につけるのが上達の近道。できれば教室や体験レッスンで、実際に確認してもらうのがいちばんです。
練習曲としては、最初はメロディが馴染みやすい民謡から入るのがよいと思います。地元・新潟の民謡でもいいし、よく知っているうたから始めると、耳で確認しやすくて進めやすいです。
教室と独学、どっちがいい?
独学でも動画などで学べる時代ですが、民謡三味線はうたとの呼吸感や独特のノリが大切なジャンルです。テキストだけでは伝わりにくい部分があるので、できれば最初だけでも対面で習うことをおすすめします。
みんふう楽器店でも三味線の相談・体験に対応しています。「どの楽器を選べばいいかわからない」「近くに教室がなくて困っている」という方は、まずお気軽にお問い合わせください。楽器のコンディションが気になる方は、新潟での三味線修理・調整についても対応しています。郵送での対応もできますので、遠方の方もどうぞ。
民謡三味線は、始める年齢も関係ありません。お祭りや地域の集まりで「一緒に弾いてみたい」という動機から始める方が多く、そういう楽しみ方がこの楽器には一番似合っているような気がしています。
よくある質問
- 民謡三味線と津軽三味線、楽器は共用できますか?
棹の太さが違うため、基本的には共用できません。民謡三味線は中棹、津軽三味線は太棹を使います。楽器の選び方に迷ったらみんふう楽器店にご相談ください。
- 民謡三味線を始めるのに必要な予算はどのくらいですか?
入門セットで3〜8万円前後が目安です。練習用と演奏会用で必要なものが変わってきますので、まず何を目的に始めるかをお聞きしてからご提案しています。
- 新潟・小千谷近辺で民謡三味線を習える場所はありますか?
みんふう楽器店では三味線の相談・体験に対応しています。教室の紹介や楽器選びのアドバイスもしていますので、まずお気軽にお問い合わせください。
まとめ
- 民謡三味線は中棹を使い、素朴で温かみのある音色が特徴。うたの伴奏として各地の民謡と一緒に発展してきた。
- 津軽三味線(太棹・叩き奏法)とは楽器の種類も奏法の方向性も異なる。どちらから始めるかは目指す音楽によって変わる。
- 入門には花梨の中棹三味線+プラスチック撥が無難。駒・皮の選び方も練習用と演奏会用で分けて考えると良い。
- 調弦と撥の持ち方が最初の壁。最初だけでも対面で習うと、後の上達がぐんと速くなる。
- みんふう楽器店では楽器選びの相談・修理・調整に対応。郵送対応もできるので遠方の方もお気軽に。