三味線の音が出ない・かすれる、その原因はどこにある?
どうも、みんふう楽器店です。
「さあ弾こう」と思ったら音がかすれる、またはほとんど出ない。なかなかあせりますよね。でも、ほとんどの場合は楽器が壊れているわけじゃなくて、ちょっとしたセッティングのズレが原因だったりします。
結論から言うと、原因として多いのは大きく二つ。駒に糸がきちんとかかっていないこと、そして撥皮がはがれて糸や皮に当たっていること。どちらも数分で確認・対処できます。焦らずひとつずつ見ていきましょう。

そもそも駒って何をしている?
まず駒の役割をざっくりおさえておきましょう。駒は、糸の振動を皮に伝えるためのもの。糸を掛けるために3本の溝(糸道)が切ってあります。つまり、糸→駒→皮、というルートで振動が伝わって音になるわけです。この中継地点がちゃんと機能していないと、音はまともに出ません。
店で扱っていて実感するのは、「音が小さい」「かすれる」という相談のうち、かなりの割合が駒まわりのセッティング問題だということ。高価な駒に換えれば解決するかと思いがちですが、そういう話じゃないんですよね。
原因① 駒の糸道に糸がはまっていない
駒には溝が三カ所あり、一番深い溝は一の糸を掛け、真ん中は二の糸、一番浅い溝には三の糸を掛けます。この溝に糸がきちんとはまっていないと、糸が滑って振動がうまく皮に伝わらず、音がかすれたりまったく響かなかったりします。
演奏中に駒がずれたり、糸交換した後にうっかり溝を飛び越えて乗ってしまうことがあります。特に初心者のうちは「なんとなくそれっぽく置いた」状態になりがち(自分も最初はよくやりました)。
確認のしかたはシンプル。一の糸・二の糸・三の糸それぞれが、対応する溝にしっかり収まっているかを目で見て確認するだけ。ズレていたら糸を持ち上げながら正しい溝に戻してください。
また、三味線の駒の選び方と位置についての詳しい解説も参考にしてみてください。駒の置く位置によっても音の出かたは変わってきます。
原因② 撥皮がはがれて邪魔をしている
次に見てほしいのが撥皮(ばちかわ)の状態です。撥皮は、撥先が当たって皮を傷付けるのを防ぐために貼っておく薄い皮です。この撥皮がめくれたり端がはがれたりすると、撥を振り下ろしたときに引っかかって音がかすれる原因になります。
さらに厄介なのが、スクイ撥のときに引っ掛かったりして捲れるケースです。弾いているうちに気づかず端が浮いてきて、それが糸に当たって音をつぶしてしまう。「さっきまで普通に鳴っていたのに」という状況はこれが多い。
対処法は状態によって違います。端が少し浮いている程度なら、つま楊枝などの先に糊をつけて捲れた部分に押し込み、撥などで糊を押し出す方法で応急処置できます。ただし、穴が開いていたり広範囲にはがれていたりする場合は、潔く貼り換えたほうが結局手間が少ない。
撥皮には表と裏があって、触ってみて少しざらざらする方が裏なので、そちらに糊を塗って貼ります。のりは薄く均一に伸ばして、空気が入らないよう竹べらや撥の先で押さえながら貼るのがコツです。
撥皮の応急処置と貼り換え手順
- 1状態を確認する撥皮を光にかざして、浮き・めくれ・穴の有無をチェックします。端が少し浮いている程度なら糊での補修を試みます。
- 2古い撥皮をはがす貼り換える場合は、古い撥皮を丁寧にはがします。胴皮を傷つけないよう力を入れすぎないこと。残った糊は湿らせた布で拭き取ります。
- 3新しい撥皮を貼る撥皮のざらざらした面(裏面)に薄く糊を伸ばし、もとの位置に貼ります。竹べらや撥の先で内側から外側へ向かって糊を押し出し、空気を抜きます。
- 4乾燥させる糊が完全に乾くまで演奏は控えます。乾いたらはみ出した糊をきれいに拭き取って完了です。

その他に確認したいこと
駒と撥皮を確認しても改善しない場合、以下も見てみてください。
まず糸の劣化。糸は消耗品で、使い続けると伸びや毛羽立ちが出てきて音がにごります。特に一の糸(絹糸)は切れる前から音が死んでいくことがあります。しばらく換えていないなら糸交換も視野に。
次に皮の張りの緩み。皮張りが甘かったり、上手く張れていない場合は、いくら駒を変えても音色は良くなりません。皮が胴からほんの少しずれていたり、長期間使用で張りが落ちていたりする場合は、皮の張り替えが必要になります。三味線の皮の張替え費用と修理の流れも参考にどうぞ。
また、水分や劣化が原因で皮が胴からずれることがあるので、湿気の多い季節は特に注意が必要です。
自分で直せない場合は、迷わず相談を
「チェックしたけどよくわからない」「直したつもりがまだかすれる」というときは、無理に触り続けるよりプロに見てもらうのが一番早い。小千谷のみんふう楽器店では、音が出にくい・かすれるといった症状の確認から修理まで対応しています。郵送での対応も受け付けているので、新潟から遠い方もお気軽に。
三味線はギターと違ってパーツの数が少ない分、一か所のズレが音にダイレクトに出ます。だからこそ、いい音色は、サワリの溝と駒の関係、皮や糸の状態など、複数の要因があるとも言われているわけで。逆に言えば、ひとつひとつ正しく整えていけば、きちんと応えてくれる楽器です。
もし「なんだかずっと音がおかしい気がする」という方は、新潟で三味線の修理ができるお店のページもあわせてどうぞ。
よくある質問
- 駒の位置はどこが正解ですか?
一般的には音緒から指2〜3本分の位置が目安とされています。ただし駒の位置を変えると音程(ツボ)も変わるため、位置を変えた場合は調弦し直してから弾いてみてください。
- 撥皮はどのくらいで交換するものですか?
使用頻度によりますが、撥が当たる部分が摩耗してきたとき・穴が開きそうなときが交換の目安です。演奏会の前は新しいものに替えておくと安心です。
- 音が出ない原因が皮の張り替えだった場合、費用はどのくらいかかりますか?
素材や張り方によって異なりますが、みんふう楽器店では郵送での修理対応も承っています。まずはご相談ください。
まとめ
- 三味線の音が出ない・かすれる原因として最多なのは、駒の糸道に糸が正しくかかっていないこと
- 撥皮がめくれ・はがれていると撥が引っかかり音がつぶれる。端が浮いている程度なら糊で応急処置できる
- 糸の劣化・皮の張りの緩みも音に直結するため、しばらく手入れしていない場合はあわせて確認を
- 駒を変えても改善しない場合は、皮の張り具合そのものが問題の可能性がある
- 原因が特定できないときは楽器店へ。みんふう楽器店は郵送修理にも対応しています